最近の私のお気に入り。
それは、ゼブラのマッキーペン(油性)である。

わざわざ絵にするまでもないが、
これがマッキーペン(油性)だ。
特に、極太のマッキーペンがお気に入りである。
マッキーの何がいいかというと、ゴリゴリ塗り重ねても紙がヨレないところだ。さすがの揮発溶剤系である。文章を書く時は、万年筆か、プロッキー(水性)がいいとこの記事に書いたが、「塗り重ね」に強いのは溶剤系なのである。
しまった!を面白がる変態性は、後天的に育めるものなのか?
以前この記事に、書道をはじめたと書いた。書道とマッキーペンには共通点がある。


一発勝負で、やり直しがきかないぜ!
当然「しまった!」と思うことはしょっちゅうである。だが、失敗した!と思った瞬間からが面白くなるのが、アート(らくがき)の懐の深さである。
イケイケの経営者の話で、トラブルや困難に見舞われたときほど「よし来た!」とやる気が湧いてくるものだ、そんな話を見聞きしたことがある人もいるのではないだろうか。
だが、「その感覚、わかる!」って人は、どのくらいいるのだろう。ちなみに、私の初期設定にはそんなマインドは搭載されていないので、

そんな変態がいるのか?!
と驚いたものである。しかしながら、あんなしょうもない作品をバンバン放出できるんだから、

さぞかし、剛毛の生えた心臓を持っているんでしょうよ!
と思う人もいるだろうが、実際には、まあまあ小心者なのである。
意外に思うかもしれないが、会社員時代は、失敗も、追い込まれるのも避けたいからと「準備を怠らない」タイプの人間だった。ただ、仕事というのは、十分に時間が与えられるものばかりではない。
「不測の事態」が勃発したり、速攻でボールを打ち返さなければならないものもある。いくら準備をしていたとて、予期せぬことは、起こるときには起こるものだ。そんな時に、考えるより動く、機転がきく、頭の回転の速い人を羨ましく思っていたものである。
トラブルに見舞われてもなんとかする力は、ある程度「場数」を踏めば育まれてくる。ただ、そうはいっても、もともと持っている「気質」のようなものは、そう簡単に変わらない。どんなに場数を踏んだところで

トラブルきたきたぁっ!アドレナリンでまくりだぜ!
そんなジャイアン気質の人ばかりではないだろう。
どうでもいいけど、この部分だけで「ジャイアン」ってわかるのってすごくないか?

失敗を、失敗にしない「想像力&創造力」
話をもどそう。ジャイアン気質を備えていない私のような人間でも、直面したトラブルと制約を面白がって創意工夫につなげることはできる。そのヒントが、まさかの「マッキーペン一発描き」にあったのである。本記事を執筆しているのは、わざわざそれをレポートするためである。
さて、ここで私に「どうぞ、ご自由に、なんでもいいからマッキーで描いてみて♡」なんていわれても、何を描けばいいの?と思う人も少なくないだろう。
創造のきっかけは「道具」でも、「お題」でもなんでもいいのだが、人間はなにかしら「ひっかかる」ものがないと、チコちゃんに「ぼ〜っとしてんじゃねえよ!」って言われて試合終了になってしまうのである。
ここで「チコちゃん」が登場したのも何かの縁、ということで、チコちゃんを試しに描いてみよう。私もチコちゃんを描くのは、はじめてである。4回チャレンジしても10分程度だったので、ぜひ試してみて欲しい。
さっそくマッキー1本で!「チコちゃん」を描いてみよう
一発目。ここでわかるのは私がいかにヘタレかということだろう。

誰だこいつは?
尺が違う。目のクマ?もなんだか怖い。マッキーの無駄遣いになるので、髪を塗りつぶすのも途中でやめた。
実際のチコちゃんはカラーだが、私たちは「マッキー(黒のみ)で描くべし」、という勝手に決めた謎ルールがある。
大して絵心もない人間が黒一色で煌々と燃える炎や湯気を表現するのはムズイ。
ならばと、鉛筆で「下書き」してから描いたのが、こちらの赤い背景のチコちゃんである。

炎を入れるのがムズイと左脳が働きまくり、目玉だけを描き入れたヘッポコぶりだが、今日の記事で一番「ホンモノに近い」のは、この「下書きありのチコ」だろう。
でも、だから何?って思わないだろうか。
面白いか?と言われると、1ミリも面白くはないし、なんの創意工夫もない。なるべく忠実にチコを「真似ただけ」である。
チコちゃんの番組を見る方がよっぽど面白いだろう。帰してくれ。
そこで、4回目の挑戦である。
さて、私の関心事はどうしたらマッキー一本でチコのお怒りぶりを表現できるかだ。じつは、あなたの創造性、問題解決力を引き出すためには、ここも重要なポイントなので少しだけ補足しておく。
あなたはチコの何を表現したいと思ったか?
あなたはチコの何を表現したいと思ったか?
ここが重要だ。チコの皮肉っぽさ、憎ったらしさなのか、それともラブリーさ♡なのか。
ひとりひとり違うはずである。誰が、何と言おうと関係ない。
あなたが描き出したいと思う、チコの特徴(魅力)にスポットライトを当てる。
ここを念頭に置くことで、創意工夫が生まれてくるものなのである。私は「チコのお怒りぶり」を表現したい。ならばどうするか?

まずは、髪の毛を丸ごと飛ばしてみた。
この時点で、もはやチコではない。別人じゃねえか!そう思われても気にしないことだ。
誰もそんな勝負を仕掛けてくれと頼んでいないのだが、こちとらマッキー1本で勝負しているので、目の炎は水彩や色鉛筆のような透明感のある色を重ねることはできない。
なので、目の中に直接炎を入れた。でも、もうちょっと大袈裟にすればよかった。一発勝負だから仕方がない。悔しいからワンピースにパンダのワッペンをつけてやったぜ。
「欲」こそ、アイデアを引き出す「トリガー」になる
果たして、これは「チコちゃん」なのか?
言ってもらえなければ、わからないし、言ってもらってもチコ?とは認めてもらえないかもしれないレベルだが、大して番組も見たことがなく、描いたことがないんだから「下手くそ」で当たり前である。
そんなことより、描いているときに、「そうじゃない!」とか、「もっとこうしたいのに!」という「欲」が生まれきたかどうか。こっちの方がよっぽど重要である。なぜなら、その欲が、アイデアを引き出すトリガーになるからだ。
誰にも頼まれていないが、チコマッキー画から、アイデアを生み出す3ステップにまとめるとしたら、こんな感じになるであろう。
テーマや課題を絞る(今回は、チコのお怒りぶりを表現したい)
今回はマッキーペンのみで描く
もっとこうしたい!こうじゃない!という欲を起点に洗練を重ねる
やはり、まとめるほどのことでもなかったが、「マッキー1本で描く」という勝手に決めた「制約」と、「チコのお怒りぶり」に焦点をあてたことで、髪の毛を飛ばすとか、ワッペンをつけるとか、こうしてみるか、ああしてみようというアイデアが生まれてきた。
だからなんやねん。
とツッコミたくなる人もいるかもしれないが、今日一番伝えたかったことはこれである。
「アイデア」を生み出すには、「制約」と「欲」が不可欠
時間があれば、予算(金)があれば、人がいれば、思う存分できるのに!
とブーブー言いたくなる気持ちもとってもよくわかる(私もそうだった)。でも、今与えられている「限られたリソース」こそ、アイデアの発露の起点になり、自分の「欲」に正直になったときほど、人間というのは創造的になるのである。
「欲」というのは悪いものではない。むしろ、自分の「欲」をごまかして「いい人」演じていたら、なんだかつまらない人生だったな、で終わってしまうだろう。
つまらない人生なんて嫌だ!と思うのなら、騙されたと思ってチコマッキー一発描きに挑戦してみてほしい。時間をかける必要はない。1枚5分以内で終わらせよう。そしてまずは自分の「欲」に気づくことからはじめよう。
TOMOKO