豆柴のこむぎと夕方の散歩をしていたある日

私もママがつくった紫の本みたいの、つくりたいんだけど・・・
と娘が言い出しました。
紫の本というのは、昨年私が出した電子書籍『星しるべ』のこと。
つまり、Kindleで絵本をつくりたい!っていいだしたのです。

おお!めっちゃいいじゃん!つくろう、つくろう!
単純王の母は、スイッチ入りまくり!になったのであります。
そうは言ったものの…Kindle絵本ってどうやってつくるの?
その場の勢いで「つくろう!」と言ったものの、そもそもKindleの絵本を買ったことがないし、つくり方を知りません(笑)
漫画もKindleで読めるくらいだから、絵本もきっとつくれるはず!
そう信じてあれこれ調べていたら、ある程度の情報は集まってきたのですが…
「コレ、つくった方が早くね?」
って。私はマニュアルの類が大の苦手です。1つ1つ手順を確認しているくらいならこの時間でつくっちゃえ!って思ったんですよね。
おまけに、このタイミングで娘が歯医者ギライのパパに引率して変なスケッチを描いてきたので、「これで絵本つくれるじゃん!」と思い立ったが吉日、この変なスケッチをつかってさっそく試作してみることに。
Kindle絵本づくりでつかった3つのツール
Kindleで絵本をつくるときに私が使ったのはこの3つ。
1)Kindle Comic Creator
2)アイビスペイント
3)Canva
*Kindle Kids Book Creatorは日本語に対応していないのでご注意を


こどもの絵って、ずるいよな〜(笑)今、この瞬間だけの目線と、今しか描けない絵。
親バカ全開で言いますけど、うちの娘の「パパの描き方」は相当面白いです。パパはネタでしかない。絵の中でめっちゃいじり倒します。
こどもの絵を捨てられなくて困っているお母さんは(☜ワタシのこと笑)
アルバム代わりに絵本をつくるのもアリ!だと思いますよ!
アイデアやひらめきという美しい鳥と仲良くするには
ちょっと話はそれますが、娘はYouTubeやってみたい!LINEスタンプをつくりたい!つくってみたり、まぁとにかく「やってみたい!」って言ったことは、とりあえず片っ端から「やってみる精神」で、一緒に試してガッテン!してきました。

365日白ネコと黄身が好き
小学二年生のときにつくったLINEスタンプ。「無地のカルタ」にサインペンで描いた原画からなんと40個のスタンプを完成させました!
(よく頑張った!ワタシ笑)
*8個、16個(8の倍数)でもつくれますよ!
彼女は母親のやってることをとてもよく見ています。
ママは文章(本やメルマガ)を書いているらしい、動画もつくれるらしい、こんどは紫の本を出したぞ!とかね。でも、それを見ている脇からすぐさま「私もやりたい!」と言いだすことは、ほとんどありません。
(ママをつかえば)できそうなことが、しばらく彼女の頭の片隅にあって、彼女の中で機が熟すと「私もやりたい!」って言い出します。
自分だったら何を伝えるのか?どう表現できるのか?それが温まってくるのには、タイムラグがあるっていうことを、本能的になのか、彼女はちゃんとわかっているようです。そういうところは、私の子供時代よりかなりオトナだなって思います(笑)。
脳にはレセプター機能というものがありますから、スイッチONにしておけば、ふとしたときに、ひらめきやアイデアが集まってくる。でも、せっかく自分のところに集まってきた美しい鳥(=アイデアやひらめき)も、今は無理だから・・・って放置していると、その鳥たちは別の人のところに逃げていってしまいます。
そういえば私は、20代そこそこの時に、英語版の「大きな木」をゲットした頃から「絵本がつくりたい」って思っていた気がします。でもすっかり忘れていました。絵本はずっと好きだったし、大学を卒業したら翻訳家はどうかな?なんて考えたこともあったけど「その道」に進まなかった私は、やがてそんなことを思っていたこと自体をすっかり忘れていました。
娘が生まれたあとも「絵本がつくりたい」ってよぎったのですが、自分では絵本にしたいと思える絵が描けないしなぁ・・・なんて言いわけしていたら、絵本の鳥が帰ってくるのに、一体何年が経過していたのでしょう(苦笑)。
こどももオトナも誰でも「メディアづくり」ができる時代
もちろん20年前は「Kindleで絵本を」なんて選択肢はありませんでしたから、娘のおかげで機が熟したという捉え方もできなくはありませんが、アイデアやインスピレーションという鳥は、カゴの中に閉じ込めておくことはできません。
自分のところにきてくれた時に、素早くスケッチしたり、言葉を書き留めたり、いざっていうときにお披露目できるように準備しておかないと「今だ!」っていうタイミングでカタチにできないんですよね。その代わり、翼をもった鳥たちは「あなたたちのおかげで、こんな作品がつくれたよ!」ってちゃんとカタチにしてあげると、喜んでまた別の仲間を連れて飛んできてくれます。
今はKindleのオンデマンド印刷だけじゃなくて、スマホでアルバムをつくる感覚で出版物を印刷できるところも登場しているようですから、本当に選択肢が広がったなぁ!って思います。やるって決めるだけでカタチにできるんです(知人から教えてもらったのはこちら:しまうま出版)。
「紙の本を商業出版がしたい!」という方もいらっしゃると思います。とはいえ、絵本なら最低部数の条件もありますし、自分とぴったりの出版社さんとのご縁がつながるまで出版できない・・・というのはもったいないんじゃないかなって思うんです。
それから、出版社さんにも出版社さんのご意向があったりもするので、一度は何の制約もない状態で自分が伝えたいことをとことん伝える!っていうのを経験しておのもいいんじゃないかなって思います。それこそ、いよいよ商業出版となったときに、Kindleが1冊あるだけでも、出版社の人と話がしやすくなりますしね。
やるか?やらないか?
コドモはいつだって創造のスイッチ全開ですが、オトナも創造のスイッチをいれるのは「自分次第」という時代になりましたね。
オススメはサインペン!鉛筆で描かれた絵はちょっぴり難易度高めだった(汗)
さて、娘のパパの絵は、マルマンのクロッキーパッドに鉛筆で描かれていました。絵本は46ページありますが、原画は1枚の紙っぺらしかなくて、そこに表情が違うパパが9種類。
これをプリンターでスキャンして取り込み、絵本化することにしたのですが・・・
最初は汚れや不要なリング部分だけを取り除いてつくったデータをAmazonにアップしてみました。でも、結構細かいところまで背景透明にしないと、イラストが綺麗に出ないことが判明(汗)

以前LINEスタンプをつくったときは、表面が画用紙っぽいカルタの紙に、サインペンだったのでスキャンして取り込むのも、背景透明化もスムーズでした。
でも、鉛筆には特有の濃淡、タッチがあるのと、1ページに複数個描かれたものを、1つずつ切り出していったので、不要な部分を消したり、コドモあるあるな汚れを取り除いたりしていたら、パパの顔、目、髪の毛のスキマみたいなところまで背景透明するハメに(笑)
この作業をシロウトがチマチマやるのは相当エグかった!
ただ、こどもの場合「描き直し」って全然ダメなんですよね。別人かよ!ってくらい全然ちがう絵になっちゃう。
とりわけ、うちの娘みたいに「バーン!どうだ!ハッハッハァッ!」みたいな野生児タイプは、同じような絵を頼んでも、二度と描いてくれません。いや、違うな・・・もうちょっと正確に言うと、描いてはくれるけど、面白さの鮮烈さが失われてしまうのです。
正直者の母は、受け取った瞬間「ちょっと違う」が顔に出てしまうタイプなので、それで彼女のご機嫌を損ねたことが何度かあります(苦笑)。
そんなこんなで、本音を隠せない不器用な母親は、バーン!と出たとこ勝負で、一気に企画や打ち出し方を考え、それで何とか料理する能力が磨かれてしまうのであります。
オンデマンド印刷にも挑戦してみたよ!
せっかくなんで、今回はオンデマンド印刷にも挑戦してみました。試し刷りを取り寄せてみたのですが、思っていた以上に良い出来栄えで、ちょっと感動。


ちなみに、オンデマンド印刷の選択肢なんですが、日本のアマゾンではプレミアムカラーか、白黒かの2択です。それから、表紙だけカラーにして、中身は白黒っていうのもできません。
白黒にした場合にデッサンの濃淡がどう出るのかわからなかったので、今回はプレミアムカラーを選択して、表紙は「光沢あり」にしてみました。

印刷時の原稿のアップロードなんですけど、本文と表紙を別々でアップロードするのは電子版と一緒なんですが、表紙は、表紙−背表紙−裏表紙が一体化したデータでアップする必要があります。
ちゃんと端のところまで綺麗に印刷されるように、断ち落としを考慮した表紙の原稿をつくるのですが、個人的には、この作業がCanvaじゃしんどいわ!って思いました(笑)
いちおう塗り足しとかトリムマークの機能とかもついてるんですけど、こういうのはAdobeの方がいいんだろうなぁ・・・。
今回はつくった原稿がどうなるのか、ひと通り自分で確認してみたかったので、自分でやりきっちゃいましたが、表紙に関してはプロに頼んだ方が、確実で安心だと思います(笑)
ちなみに印刷コストはいかほどで?
ちなみに、オンデマンド印刷での出版に興味がある方は、費用がどのくらいかかるのかが気になる方も多いのでは?(私もそれが知りたくて試作しました)。
ということで、Amazonにお叱りを受けない程度にお伝えすると
【今回の仕様】
・21cm×21cm のカスタムサイズ
・46ページ
・フルカラー
・表紙は光沢加工
印刷代は4**円。
これを安いと捉えるか、高いと捉えるかはみなさん次第でございます。私は案外安いなって思いました。今回のオンデマンド印刷版は855円で販売しております。
この価格で1冊売れると、娘が駄菓子屋でお菓子が1個買えるかな?という利益になります(笑)。最近は駄菓子もちょいと値上がりしてますからね。つまり数十円ってことです。数十円の「数」に何が入るかは、みなさまのご想像にお任せします。
オンデマンドの「承認」までにかかったのは2日半くらい。それからPrime会員なら送料は無料で購入できますが、配送におよそ3日かかります。
紙の本の著者さんからロイヤリティについて聞いても、紙の本の金銭的な利益って意外と微々たるものなんですよね。なので、娘の絵本の利益は、まあまあ出版業界(紙で出版すること)のリアルを伝えている気がします。
そうはいっても、昔だったら「自費出版で数百万!」みたいな世界だったじゃないですか。
以前お話しを伺った方で、自費出版で300万かかった、なんて方もいらっしゃいました。もちろんしかるべき出版社を通してプロモーションしてもらえれば読んでもらえる人も増えますが、ある程度の部数をあらかじめ買い取らないと、その流れにも乗せてもらえなかったり、自費出版の場合は流通までは面倒みてくれないケースもフツーにあるようです。
そう考えると、出版を誰にとっても身近にしてくれて、こどもの本もこんな風に気軽に出版できるAmazonの存在は非常にありがたいし、やさしい仕組みをつくってくれてるな〜って個人的には思います。
そんなこんなでKindle絵本『もし、パパとはいしゃにいったら』が完成したゾ!
娘の絵本『もし、パパとはいしゃにいったら』が完成しました!
Amazonのページはこんな感じ!

娘の絵本がスマホやiPadで見られるようになった瞬間も「おお〜!」って思ったけど、それでも印刷されたものが手元に届いたら、ホクホクしちゃいました(笑)
原画には原画のよさがあり、デジタルにはデジタルの良さがあります。でも、ちゃんと紙の本として仕立てられると、うれしさの種類がひと味違うものなんだな〜って思いました。これってなかなかに不思議な感覚ですが、実際、手に取ってみると違うのであります。
野生児のバーン!を絵本という作品に昇華しよう!
というわけで、バーン!と出たとこ勝負で「これで何かできるかしら?」っていう素材をお持ちの方は、ぜひぜひ、Kindle絵本チャレンジしてみてくださいね!
絵本として物語調に仕立てるのもいいし、「4歳の作品集」とか学年ごとにアルバムのように作品をまとめても素敵だと思います。そうでなくても、こどもの絵ってどんどん増えちゃいますし、写真で撮っても「あれ、どこいったっけ?」ってなるじゃないですか(笑)
一手間を惜しまずにKindle化しておくと、いい思い出にもなるし、お子さんとのコミュニケーションも楽しくできます。やってみたいけど、自分じゃちょっと・・・と不安な方はご相談くださいね!

【編集後記】
この絵本はKindle Unlimitedでも、オンデマンドでもどちらでも読めます!
ぜひ「野生児タイプ」な娘の絵本、お手にとって笑っていただけたら嬉しいです!
TOMOKO &COCORO
*本記事は2024年11月に発行したメルマガを再編集したものです。
